WEB3

リップル裁判とは 結果と今後の動向

仮想通貨のリップルが米国証券取引委員会(SEC)と裁判を行っていることをご存じでしょうか。
裁判によって影響があるのならばリップルを購入することは控えた方がよいのではと考える人もいるかもしれません。
しかし長期間にわたるリップル裁判も2023年7月に決着がついており、リップル自体も注目度が増すことが考えられます。
今回は、リップル裁判の結果や仮想通貨の有価証券化についての解説を行います。

3年にわたるリップルの裁判に判決が出る

2023年7月13日、米証券取引委員会(SEC)が訴訟を起こしたリップル裁判について判決が下りました。
暗号資産のデジタルトークンとしてのXRP自体は有価証券ではないという、リップル社側の申し立てを容認しました。
今回の裁判ではリップル社側の部分的な勝利という形になりましたが、リップル社の最高責任者であるスチュアート・アルデロディ氏は大勝利とツイッターで宣言しています。
またSEC側もこの先不服を申し立てることが考えられ、今後も暗号資産に対する規制との戦いは続く可能性が高いです。

有価証券とはなにか

有価証券とは証券に財産的価値のある紙面のことです。
譲渡などをすることで財産的権利を移転することができます。
国税庁による定義では、印紙税法に規定する「有価証券」とは、財産的価値のある権利を表彰する証券であって、その権利の移転、行使が証券をもってなされることを要するものをいいます。(引用:国税庁)

有価証券の種類

有価証券は、主に3つに分類することができます。
商品券などの物財証券と、小切手や約束手形などの貨幣証券、そして資本提供者の権利に対する請求権を表すものである、株式や債権、投資信託などがあります。

仮想通貨は有価証券なのか

仮想通貨は流通し始めた当初、一部の投資家のみが取引を行っており、安全性や長期的な価値が疑問視されていました。
しかし現在では、一般の人もビットコインやイーサリアムなどを認知し、様々な分野で活用されています。
そのため日本だけでなく、アメリカなど世界中で仮想通貨を有価証券として認めるべきなのか議論が行われています。

ビットコイン

仮想通貨の代表的な通貨であるビットコインは、最もシェア率が高く有価証券化の議論が行われてきました。
2019年にSECの投資管理部のメンバーは、書簡でビットコインは有価証券ではないと示しています。
しかしビットコインや仮想通貨の市場が拡大することで、有価証券化の流れが強まることになれば、ビットコインも今後有価証券化されることが大いに考えられます。

リップルの有価証券問題とは

リップルの裁判の焦点は、リップル(XRP)が有価証券に当たるのかどうかという点にあります。
リップル社は2013年から有価証券登録をしていないリップル(XRP)を販売して資金調達を行って利益を得ています。
このようにリップル社が利益を得る目的で発行されたものは、株や社債などの有価証券に当たるのではないかとアメリカの証券取引委員会(SEC)は主張しています。

SEC側の主張

裁判におけるSEC側の主張は、リップル社が発行したXRPはハウェイテスト(Howey test)の要件を満たしているという点です。
ハウイ基準とは、①金銭の出資が行われている、②共同事業である、③収益性がある、という3点の要件を満たせば投資契約に該当するという基準です。
リップル社は投資家に対してXRPを購入することで収益が期待できることなどを言及しています。
またXRPは中央銀行や政府が発行した通貨ではなく、証券ではないかと主張を展開しています。

リップル社側の主張

一方でリップル社の主張は、SECがビットコインやイーサリアムを認定したように、XRPも通貨であり有価証券ではないという点です。
またアメリカの主要な政府省庁の司法省や財務省などがXRPを通貨とみなしているため、連邦証券法の管轄外ではないかと、SEC側が管轄を超えた主張をしていると指摘しています。

リップルが有価証券になった場合の影響

リップルが有価証券になった場合には、法律や規制、取引所など様々な分野に影響があります。
投資家も所得税の種類が変更されるなど、収益面でも変化が生まれます。

法的な制約

リップルが有価証券と判定された場合には、証券取引委員会(SEC)の規制に従う必要があります。
有価証券に該当すると取引場所は証券取引所となり、取引時間も制限され利益を得る期間が減少することになります。
またICOなど独自の仮想通貨を発行するという方法もSECの監視下になることで資金調達が容易ではなくなります。

仮想通貨業界全体に追加の規制が導入される

リップルが有価証券と判定されることで、他の仮想通貨にも影響が出る可能性があります。
現状ではビットコインやイーサリアムなどの主要な仮想通貨は有価証券と認めている国はありません。
しかしリップルが有価証券と認められると、他の仮想通貨にも追加の規制などが導入されることも考えられます。

取引所への影響

有価証券と認定されたリップルの取引は、仮想通貨取引所では扱いにくくなる可能性があります。
リップルは日本国内の多くの取引所で取り扱いがされており、有価証券と判決が出た場合には証券取引の規制を遵守する必要があり、これまでのように取引を行えなくなるかもしれません。
仮想通貨取引所でリップルの取り扱いができなくなると、取引所の経営にも支障が出る可能性があり、倒産することや規模が縮小することなどの影響が出ることも考えられます。

投資家も影響を受ける可能性

リップルの投資家や保有者も、有価証券としての扱いによって影響を受ける可能性があります。
これまで仮想通貨として保有していたリップルが、株式に相当するものを保有する必要が生じることになります。
仮想通貨と有価証券では、課税のタイミングや税率、所得税の種類など様々な点が異なります。
そのため投資家は、有価証券との違いをしっかりと理解しないと損をしてしまう可能性もあります。

リップルの今後の動向は

今回のリップル裁判の結果を受けて価格に変化がある一方で、有価証券化については今後も仮想通貨全体の課題になっていくことが考えられます。

価格が上昇する可能性

リップル裁判の結果、リップル側が部分的に勝訴したことで価格が上昇していく可能性があります。
リップル裁判の後、XRPの価格は大きく上昇しています。

2023年7月12日以前では約0.47ドルであった価格が、7月14日には約0.82ドルまで高騰しており1日で約74%も上がったことになります。

SEC側が控訴することも

SEC側は今回の一部敗訴となった結果を受けて控訴をする可能性があります。
SECの担当者は、XRPが証券取引法に違反する投資契約として販売されたと判断されたことをうれしく思うと述べており、敗訴となった部分についても引き続き検討するとしているため、控訴をする可能性も十分に考えられます。

まとめ

リップル社とSECの裁判は、双方だけでなく仮想通貨業界全体の問題で、多くの人が注視しています。
SECはリップル以外にも多くの仮想通貨に対して有価証券ではないかと裁判を起こしており、SEC側も今回の判決に不服を申し立てることが十分に考えられます。
そのため仮想通貨が有価証券になった場合の課税方法の違いや取引所での扱われ方などをしっかり理解しておくことで自分の身を守れることにもつながります。

関連記事