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仮想通貨を自己管理する人が増加している背景 USバイナンスとの関係とは

仮想通貨を自己管理する人が増えていることをご存じでしょうか。

2022年から主要な仮想通貨取引所でBTCなどを引き出されるケースが増加しています。

自己管理ウォレットはオフラインのため正確な数字は出ていませんが、近年取引所の不確実性が高まっていることが原因だと指摘されています。

今回は仮想通貨を自己管理する人が増加している背景やウォレットの特徴について解説します。

仮想通貨を自己管理する人が増加

近年では仮想通貨の保管を取引所に任せるのではなく、ウォレットで管理するセルフカストディの需要が増加しています。

セルフカストディとは、秘密鍵を自分自身で管理することで、資産をコントロールすることです。

これまでは管理委託型の仮想通貨取引所に資産を預けている投資家が大半でした。

しかしFTXの破綻やUSバイナンスの訴訟問題などによって、投資家はウォレットに対して高い関心を持つようになっています。

実際にコールドウォレットを提供しているLedger社は、2022年に過去最高の売上を記録し、需要が高まっていることを受け約1億ユーロを調達すると発表しています。

USバイナンスとの関係

自己管理ウォレットに資産を移行する人が増加している背景には、USバイナンスの問題が大きく関わっています。

USバイナンスは金融規制当局からの訴訟などによって市場シェアが20%以上減っています。

2023年4月には約22%のシェア率を維持していましたが、6月下旬には約0.9%までシェアを落としています。

また日本国内でもUSバイナンスの利用が2023年11月に終了し、国内向けの取引所に改変されることが発表されており、レバレッジ取引やステーキングなどのサービスを順次終了していく予定となっています。

自己管理の増加によりコインの停滞を招く恐れ

投資家が自己管理ウォレットを利用することで安全性が高まると言われていますが、一方で仮想通貨の流通量が減少する可能性があると指摘されています。

仮想通貨をコールドウォレットで保管する場合、取引を手軽に行うことは難しくなります。

そのためコインの停滞が起こり仮想通貨市場に悪影響を与えるが考えられます。

管理委託型ウォレットと自己管理ウォレットの違い

仮想通貨取引所と自己管理ウォレットにはそれぞれ特徴があります。

管理委託型ウォレットの特徴

一般的に管理委託型ウォレットとは、仮想通貨取引所のことを指します。

取引所では管理者が存在するため、仮想通貨の知識が少なくてもサポートを受けられる一方で、ハッキングなどの攻撃を受け資産が紛失するリスクも生まれます。

管理が手軽

管理委託型のウォレットは、仮想通貨取引所などが資産の管理を行うためユーザーが管理にかかる手間や専門的な知識を持つ必要がありません。

取引所では、登録をすることで秘密鍵や保有している仮想通貨を管理してもらえるため、初心者でも安心して利用することができます。

コールドウォレットのように自分自身で保管をする場合には、秘密鍵を忘れずに管理しなくてはなりません。

また管理委託型のウォレットでは取引やステーキングなどのサービスも多様であり、保有している仮想通貨の資産で手軽に取引を行えるメリットがあります。

カスタマーサポートが充実

仮想通貨取引所にはカスタマーサービスが設置されていることが多く、問題や疑問が発生してもサポートを受けやすい環境になっています。

特に初心者の場合には、仮想通貨の取引や送金に関する疑問やトラブルが起こりやすいため、カスタマーサービスがあることで安心して利用することができます。

例えばbitFlyerでは、メールや電話窓口での相談やAIによるボイスボットでの対応などで取引やサービスに関する問い合わせを受け付けています。

リカバリー方法が多い

仮想通貨取引所では、アクセスできなくなった場合にもリカバリーする方法が多く存在します。

取引所では、複数のデバイスからアカウントにログインできるためPCやスマートフォンが故障しても対応がしやすいです。

またパスワードを忘れたり失くした場合にも、取引所に問い合わせることで手順に従いパスワードを回復することもできます。

またハッキング被害を受けた際にも紛失した資産を補償する制度も存在するため、何かトラブルが発生した場合にも対応がしやすいというメリットがあります。

自己管理ウォレットの特徴

自己管理ウォレットでは、第三者に依存せずに仮想通貨を管理するため安全性が高いことが特徴です。

しかし管理をするためには仮想通貨の知識やウォレットを失くさないように自己責任で保管をする必要があります。

ハッキング被害に遭いにくい

自己管理型のウォレットは安全性が高くハッキングなどの被害に遭いにくい傾向にあります。

ウォレットにはソフトウェアやハードウェアなどの違いがありますが、どのウォレットでもパブリックキーやプライベートキーを自分自身で管理することになります。

管理委託型ウォレットでは暗号資産に関する情報を大量に保有しており、それらがハッキングやミスなどによって流出し犯罪などに利用されるケースも少なくありません。

安全面を最優先に考えるのであればコールドウォレットを選択しましょう。

ハードウェアウォレットでは、オフラインでの管理になるためデータへアクセスすることは難しいため、ハッカーなどが不正にアクセスしにくい環境になっています。

サードパーティに資金を奪われることがない

自己管理型ウォレットではサードパーティに自己資産を奪われることがありません。

仮想通貨取引所に資産を預けている場合には、管理側の都合によって取扱銘柄の変更や取引所のサービス終了などが起こることも珍しくありません。

2022年のFTXが破綻した際には、多くのユーザーが資金を引き出せない状況に陥りました。

また2023年にはUSバイナンスが日本国内で利用できなくなるため順次サービスが停止しています。

このように取引所を利用していると自分のタイミングで取引することができず、結果的に資金を奪われる形になることも多いです。

一方で自己管理型のウォレットでは、保有資産を自分自身で管理するため好きなタイミングで取引やサービスを行うことが可能です。

管理が難しい面も

自己管理ウォレットは、安全性の高さと引き換えに初心者では管理が難しい面もあります。

ウォレットでは原則としてプライベートキーなどを自分自身で保管しておかなければいけません。

そのため紛失してしまった場合には、リカバリーする選択肢も少なく永久に資産を失ってしまう可能性があります。

またセキュリティに関しても自己責任になります。秘密鍵を失くさないよう管理する必要があり、仮想通貨やブロックチェーンに関する知識もある程度求められます。

こんな人は自己管理ウォレットが向いている

ウォレットで資産を管理することに適している人は、暗号資産を自分自身で管理しておきたいと考えている人です。

ここでは自己管理ウォレットで資産運用をすることに向いている人の特徴をみていきましょう。

暗号資産を自分の監視下に置きたい

自己管理ウォレットが向いている人は、暗号資産を自分で管理したいと考える人です。

コールドウォレットなどで保管することで、直接監視下に置くことができ保有資産の安全性が増します。

ウォレットの管理には秘密鍵の保管など手間がかかりますが、自分自身で暗号資産の管理をコントロールしたい人には自己管理ウォレットが適しています。

暗号資産取引所への信頼が低下している

暗号資産取引所への信頼度が揺らいでいる人にもウォレットは適しています。

暗号資産の市場が拡大するにつれて、取引所の不祥事やハッキング被害なども増加し不安を感じている人も多いです。

近年でも、USバイナンスの訴訟問題やFTXの破綻などトラブルが続いており、代表的な取引所でも安心できない現状があります。

そのため取引所に依存せずに暗号資産の取引を行いたいという人はウォレットでの管理という選択肢がおすすめです。

まとめ

これまでは仮想通貨取引所に資産を預ける人が大半を占めていましたが、取引所の信頼性が揺らいでいる中で自己管理ウォレットへの注目度が高まっています。

自己管理ウォレットは高い安全性や管理者に依存しないシステムなどがメリットですが、詳しく理解しないまま使用すると、秘密鍵の紛失などトラブルになることも考えられます。

ウォレットについての理解を深めることでトラブルやサイバー攻撃から身を守り、仮想通貨をより安全に管理しましょう。

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