ブロックチェーン

暗号資産の安全な管理方法とは おすすめのウォレットの種類を解説

暗号資産の投資をする上で安全に資産を管理する方法を知りたい人も多いと思います。

暗号資産はハッキングによる攻撃を受けることも多く、過去には大規模な資金流出事件が発生しています。

そのため取引所だけではなくウォレットに保管するという方法を知ることも、資産を守るためには必要になります。

今回は、暗号資産のおすすめの管理方法や取引所とウォレットの違いについて解説をします。

 

仮想通貨は安全に管理しないと盗難のリスクがある

仮想通貨はブロックチェーン上で運用されているため改ざんされにくいことが特徴ですが、過去に仮想通貨が流出する事件が起こっています。

仮想通貨の管理方法には取引所とウォレットに預ける方法がありますが、取引所に預けることで様々なリスクがあることを知っておきましょう。

 

マウントゴックス事件

 

 

2014年に発覚したマウントゴックス事件では、ハッキングによってビットコイン450億円が流出し、12万7000人の顧客が被害を受けました。

マウントゴックス社は、当時日本にあった取引所の中で最大の規模の会社です。そのためマウントゴックス事件は暗号資産業界に大きな衝撃を与え、ビットコインは危険、怪しいというイメージを世間に印象付けるきっかけになりました。

マウントゴックス社がハッキングされた原因は、管理体制に問題があったと言われています。管理システムが常にオンライン状態になっていることや、会社と顧客の資産を区分していなかったことなど、顧客の資産が安全に管理されていなかったことが原因のひとつです。

マウントゴックス事件によって仮想通貨を安全に管理するための法整備が進められ、2017年には改正資金決済法が施行され、その後取引所には国の登録が必要になりました。

 

FTX事件

2022年11月には、仮想通貨取引所のFTXが経営破綻し、約540億円がハッキングにより資金流出しました。

当時のFTXはBinanceに次ぐ業界第2位に急成長していた大手の仮想通貨取引所です。FTTという独自トークンを運用していましたが、担保不足などのずさんな経営体制が明らかになり価格が暴落しました。

その結果FTXは顧客の資産を返還できる状態ではないとして破綻申請をしましたが、申請の数時間後にハッキングが行われ資金が流出しています。

ハッキングはホットウォレットからコールドウォレットに移行する際に行われ、内部の犯行の可能性が高いと言われています。

 

仮想通貨は安全性の高い場所で管理を

仮想通貨は常にハッキングなど資金が流出するリスクが伴います。

デジタル資産である仮想通貨は株式や債券などと比較してハッキングなどの攻撃を受けやすい傾向にあり、投資をする際には十分に安全管理を徹底しなければいけません。

取引所では保管形態の違いにより資産を預けていても流出する可能性があり、ウォレットなどを複数持ち資産を分散させておくことも検討する必要があります。

 

仮想通貨の取引所とウォレットの違い

仮想通貨の取引所とウォレットにはどのような違いがあるのでしょうか。

取引所の資産は自分で管理していると感じている人も多いかもしれませんが、実際には取引所が顧客の資産をまとめて保管しています。ここではウォレットと取引所の管理方法の違いについてみていきましょう。

 

秘密鍵の管理方法

仮想通貨の取引所とウォレットの違いは、管理する場所にあります。

仮想通貨の取引所では、ビットコインやイーサリアムなどの購入した資産は取引所のウォレットで管理されています。

仮想通貨の送金などに必要な秘密鍵も、取引所が管理しているため比較的容易に取引が可能ですが、一方で取引所に対するハッキングや倒産によって資産を失うカウンターパーティリスクが生じます。

 

ウォレットで管理した方がいいのか

仮想通貨の取引所で資産を管理できるのに、ウォレットまで作成する必要があるのかと疑問に思う人もいるかもしれません。

ウォレットで仮想通貨などの資産を保管することでセキュリティ面を強化することができます。

取引所で仮想通貨を保管する場合、取引所の安全性の高さによって自分の資産が消失するリスクも変化します。

ウォレットはインターネットに接続していない状態であればハッキングをすることは難しいため、取引所で管理するよりも安全に資産運用することができます。

 

ウォレットの種類

ウォレットには大きく分けてオンライン上で保管するホットウォレットとオフラインで保管するコールドウォレットの2種類があります。

 

ホットウォレット

ホットウォレットとは、仮想通貨を管理するウォレットの中でもインターネットに繋がった状態で取引できる環境にあるウォレットのことです。

具体的には、仮想通貨の取引所のアプリやイーサリアムのdAppでNFTやDeFiなどで利用するMetaMaskなどがホットウォレットに該当します。

 

ホットウォレットのメリット

ホットウォレットは、オンライン上で管理するため取引を迅速に行うことが可能です。

仮想通貨の売買は値動きが激しいため、頻繁に取引をする場合にはホットウォレットで管理することでスピーディに売買をすることができます。

またスマホで利用できるため、場所を選ばずに取引や管理ができコストも低いことがメリットといえます。

仮想通貨の取引に利便性を求める場合には、ホットウォレットをおすすめします。

 

ホットウォレットのデメリット

 

ホットウォレットはインターネット上で管理するため、常にハッキングなどのリスクがあることがデメリットです。

オフラインで扱うコールドウォレットと比較すると安全性が低いといえます。しかしホットウォレットでは生体認証や二段階認証などセキュリティレベルを上げる対策が行われており、被害があった場合にも補償制度を導入するホットウォレットも増えています。

 

コールドウォレット

コールドウォレットは、インターネットに接続されていないウォレットのことです。

コールドウォレットには、USBメモリのような端末に仮想通貨のデータを管理するハードウェアウォレットと、仮想通貨の情報を紙に印刷するペーパーウォレットの2種類があり、それぞれ長短があります。

実際に仮想通貨取引所の中には、セキュリティ面の向上のためコールドウォレットに一部の資産を保管している取引所も存在します。

 

コールドウォレットのメリット

 

コールドウォレットの最大の利点としてセキュリティの高さがあります。

インターネットに接続しない状態で保管ができるため、ハッキング被害に遭う可能性が低いです。

特にペーパーウォレットは、紙媒体であるためハッキングすることはできず、長期間の管理に適しています。

またマルチシグに対応している場合にはさらに安全性が向上します。

マルチシグとは仮想通貨の送金や取引に複数の署名が必要になるシステムのことです。従来はシングルシグという秘密鍵を1つだけ利用するシステムですが、マルチシグでは複数の秘密鍵を必要とするため安全性が向上します。

また秘密鍵の紛失や誤送金などを防ぐことも出来るためリスクを減らす効果もあります。

 

コールドウォレットデメリット

コールドウォレットは取引にかかる時間や手間が増えることになります。

ホットウォレットの場合には、インターネットに接続しているため頻繁に取引がしやすいですが、コールドウォレットではアクセスや送金などに時間がかかります。

ハードウェアウォレットでは、パソコンに接続する必要があり、ペーパーウォレットでは入力する時間もかかります。

もうひとつのデメリットは紛失の恐れがあることです。

ペーパーウォレットは、紙媒体であるため汚れて読めなくなることや、やぶれてしまうことなどリスクがあります。ハードウェアウォレットでも紛失や盗難に遭った場合やパスワードなどを忘れてしまった場合には資産を失う可能性があります。

 

まとめ

暗号資産の管理方法には、ホットウォレットとコールドウォレットの2種類があり、それぞれ向いている保管方法は異なります。資産の管理方法を間違えてしまうとハッキングなどの被害に遭う可能性もあるため、暗号資産の運用の仕方によって管理の仕方を選ぶ必要があることを忘れないようにしましょう。

ホットウォレットでは、資産の出し入れが容易であるため頻繁に投資を行う人におすすめです。

一方でコールドウォレットは安全性が高いため、資産を長期間運用する場合には適しています。

このようにウォレットへの理解を深めて、資産によって使い分けることで安全で効率的な資産運用をすることが可能になります。

 

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