企業などが事業を起こす際に資金集めの方法として、IEO(Initial Exchange Offering)という仕組みがあります。従来では株式上場などをすることで資金調達が可能でしたが、IEOはブロックチェーン技術を活用した新しい資金調達手段として注目を集めています。
IEO以外にもICOやSTOなどがあり仕組みの違いや利点や注意点などがあるため、この記事を読んでしっかりと理解しておくことが重要です。
ICO・STO・IEOとはなにか
ICOやIEOという言葉を聞いたことがある人も多いと思いますが、どのような違いがあるのでしょうか。
まずはICO・STO・IEOの特徴の違いや問題点などを解説します。
ICO(Initial Coin Offering)の特徴
ICOとは資金の調達を目的にしている特定の企業や団体などがコインを発行することで販売して得られた資金を運用することです。
ICOではブロックチェーン技術によって運用されており、証券会社や第三者などを介さずに投資家から直接資金を集めることができるという点が特徴です。
従来の資金調達では、株式上場など仲介者が必要になる場合が多かったのですが、ICOによって資金調達が格段に容易になりました。
ICO(Initial Coin Offering)の問題点
ICOによる資金調達は多くのプロジェクトを成長させることに繋がりましたが、一方で簡単に資金調達ができるため法の抜け穴をついた詐欺などのトラブルが増加しました。
資金調達が終わった後に開発などが進むことのない詐欺コインなどの被害が増え、投資家が泣きな入りすることになっています。
ICOでは資金調達が容易になった反面で、金融商品取引法などが及ばなかったため詐欺などの被害に対して具体的な対応策がありませんでした。
2020年に金融商品取引法は改正され暗号資産やICOなどの取引が規制対象になりましたが、ICOは様々な問題点が発覚したため投資家は離れていく結果となりました。
STO(Security Token Offering)の特徴
STOとは企業や団体などがセキュリティトークンを発行して資金運用をする手段です。
セキュリティトークンとは、株式や証券、不動産などのデジタル証券をブロックチェーン技術で保護したトークンのことで、データの改ざんや取引への介入は非常に困難な仕組みになっています。
ICOの独自コインは金融商品取引法などで保護されていませんでしたが、STOのセキュリティトークンは株式などと同様の法規制がされているため発行元は販売する際に厳しい義務が課されることになります。
STO(Security Token Offering)の問題点
STOはセキュリティトークンという信頼性が高く安心して取引ができるというメリットがありますが、規制が厳しいため手続きが難しいことが問題点となっています。
STOでは株式や証券などが原資となるため、国ごとの規制の違いなどを理解して手続きしなければなりません。ICOでは比較的容易に発行できることが利点でしたが、STOでは様々な知識や専門家の協力が不可欠であるため、誰でも発行ができる仕組みではなく資金運用へのハードルは高いといえます。
IEO(Initial Exchange Offering)の特徴
IEOは仮想通貨を利用した新たな資金調達手段です。IEOではコインを開発している企業が仮想通貨の取引所の口座を介して運用をするため、投資家にとっては取引所が仲介することでリスクを低減するメリットがあり、企業側にとっても取引所のサポートによってプロモーションなどを行いやすいため双方にメリットのある資金運用方法といえます。
IEOのメリットとは
IEOではICOやSTOにはないメリットが多くあります。どのような点が改善されているのかみていきましょう。
気軽に参加できる
IEOは誰でも参加がしやすいというメリットがあります。ICOの場合は発行元と繋がっていないと投資ができませんが、IEOでは暗号資産の口座などがあることを条件に購入することが可能です。そしてIEOは数千円から購入ができるため、投資のハードルも低いといえます。
仮想通貨の取引所には売り手だけでなく買い手が多く集まっているため、ICOやSTOと比較して双方が参加しやすい仕組みになっています。
取引所の審査があるため信頼性が高い
IEOでは仮想通貨の取引所の審査を通る必要があるため信頼性が高いです。
審査では発行するコインだけでなく発行元の企業や団体も調査し、資金の使い道や事業内容に問題がないかを判断しています。
ICOでは仲介者がいなかったため、悪質なプロジェクトや詐欺トークンなどが横行していましたが、IEOでは取引所が発行元の健全性をチェックするため優良なプロジェクトに投資がしやすくなるメリットがあります。
大きなリターンを得られる可能性
IEOでは新たに発行されるコインを先行して購入することができるため大きな利益を得られる可能性もあります。特に期待度が高いコインや将来性があると判断されたコインは先行販売価格を大きく上回る可能性があります。
またIEOでは取引所が審査しているため通貨の価格が適正であるかも調査が行われているため、割高なトークンを購入してしまうリスクも低いといえます。
プロジェクトを立ち上げやすい
IEOでは他の資金調達方法よりもプロジェクトを立ち上げやすいメリットがあります。
IPOのように新規上場をして資金調達を行うためには時間や多額の資金が必要になります。IEOでも審査に通る必要がありますが、株式上場と比較するとハードルは低いため様々な企業が資金を調達しやすい仕組みになっています。
またIEOは仮想通貨の取引所を仲介することでトークンのプロモーションなども行ってもらえるため、サポートがあるという点でもメリットがあるといえます。
IEOのデメリットとは
一方でIEOは購入に制限があり必ず儲かる投資方法ではないことに注意しなければいけません。
抽選があるため確実に購入できるわけではない
IEOでは確実に購入ができないという点がデメリットといえます。注目度が高いコインは参加者が多くなるため抽選になる場合があります。倍率が高ければ高いほど購入することが難しくなる傾向にあり、今後も注目度の高いコインは購入することが難しくなると予想されます。
法規制の強化
IEOはICOと比較して法規制が整ってはいますが、詐欺コインなどの被害に遭う可能性に注意する必要があります。そして今後の規制の強化によってIEOでの自由な資金調達が出来なくなる可能性もあります。国によって対応も異なるため、IEOのルールや規制によって悪質なプロジェクトだけでなく優良なプロジェクトも進行しにくい仕組みに変わることも懸念されます。
暴落するリスクもある
IEOでは注目度の高いコインが発行されることも多いですが必ず値上がりするわけではないという点に注意しましょう。IEOは先行販売価格から価格が下回らないという保証はありません。プロジェクトの進行具合や将来性などによって価格が下がることも十分考えられるため、IEOは価格の予想が難しい面があるということを理解しておきましょう。
IEOに参加する方法
IEOを行っている取引所のアカウントを開設
まずはIEOのサービスがある仮想通貨の取引所で会員登録を行います。
2022年9月現在、日本国内でIEOサービスがある取引所はcoincheckとGMOコインになります。
coincheckではメールアドレスの入力をして、送られてきたリンクをクリックします。
そして氏名や住所、電話番号などの個人情報を入力し、SMS認証を行います。
最後に運転免許証などの本人確認書類をスマホで撮影して送信することで提出ができます。その後本人確認がとれたらアカウントの登録は完了します。
必要量のコインを購入
IEOは申し込む際に購入するための資金を用意しておく必要があります。IEOの申し込みをする条件は独自コインを必要数所有となっている場合が多いです。また独自コインの購入数が多いほど抽選で当たる可能性が高くなることになります。IEO申し込みのタイミングで必要数を用意していないと参加することができないため、口座資金はあらかじめ管理しておくことが大事です。
抽選や交換の実施
申し込みが完了したら抽選を待つことになります。抽選の結果、当選をした場合には自動的にコインが付与されることとなります。
まとめ
IEOは仮想通貨による資金調達手段として企業や団体だけでなく、一般の投資家からも注目されることが多くなると予想されています。
しかし発展途上の段階であるためIEOを利用する時には、暴落するリスクも考慮して慎重に購入することが大事です。