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Polygon 2.0とは 実用性を高めるアップグレードの内容や期間について解説

ポリゴンはイーサリアムのスケーラビリティ問題を解決するために開発されたセカンドレイヤーのひとつであり、NFTなど手数料の支払いなどに用いられています。
今回のPolygon 2.0によって、ポリゴンがこれまで抱えていた課題をアップグレードしどのような変更がされるのでしょうか。
Polygon 2.0のアップグレードの内容や必要になる期間を知ることで、今後の見通しなどを理解することが大切です。

Polygon 2.0とは

2023年6月12日、仮想通貨のポリゴン(MATIC)を開発しているPolygon Labsは、「Polygon 2.0」にアップグレードすることを発表しました。
Polygon 2.0では新たなレイヤー2スケーリングソリューションの開発を目的としており、ゼロ知識照明を活用します。
Polygon 2.0の関係分野は広く、ガバナンスやプロトコルの変更など基本的な要素も再考するアップグレード計画です。

アップグレードにかかる期間は?

Polygon 2.0では、新トークンへの移行などを行う必要があるため十分な期間が必要になります。
アップグレードの提案が認可されることになれば、数か月以内にトークンの置き換えが行われ4年程度の期間が設けられます。

ポリゴンのアップグレードが必要な理由

ポリゴンはイーサリアムのスケーラビリティ問題を解決するために開発されている仮想通貨です。
そのためポリゴンは、イーサリアムの負担を軽減させるために必要な仮想通貨として大きく注目されていますが、いくつかの問題点が存在します。

ハッキングリスク

一つ目はハッキングのリスクです。ポリゴンではPlasmaというサイドチェーン技術を利用しています。
Plasmaでは、親チェーンであるイーサリアムにサイドチェーンである子チェーン、孫チェーンなどを接続し最終データを親チェーンに保存する仕組みになっています。
Plasmaのシステムによってスケーラビリティ問題を軽減させることができますが、子チェーンが増えることによって不正やハッキングのリスクが生じる可能性も増えます。

イーサリアムに対抗する仮想通貨

ポリゴンは、イーサリアムの欠点を補うことを目的に作られた仮想通貨ですが、それとは別にイーサリアムキラーと呼ばれる仮想通貨の開発が進んでいます。
イーサリアムキラーは、アバランチやカルダノ、ソラナなどが代表的ですが、それらの仮想通貨はイーサリアムに対抗し市場を狙っています。
イーサリアムキラーは、ガス代の低価格化や取引時間の大幅な短縮などを行っており、今後DAppsの開発などが増えていくとイーサリアムやポリゴンの市場が縮小してしまう可能性もあります。

MATICからPOLへの変更

2023年7月13日にPolygon Labsは、Polygon2.0の大きな変更点として、ポリゴンのネイティブトークンであるMATICをPOLへアップグレードする提案を発表しています。
Polygon LabsはPOLをBTCの第一世代、ETHの第二世代に続く、第三世代のネイティブトーンであると表現しており、革新的な改善があると述べています。
POLの初期供給量は100億枚で全てをMATICからの移行へ使用します。

POLへ移行することによって以下のように大きな利点があることが述べられています。

エコシステムのセキュリティ向上
無限の拡張性を実現
エコシステムのサポートが向上
ユーザーと開発者の摩擦を軽減
コミュニティに所有権を提供

今回のアップグレードはMATICを全てPOLに置き換えるためユーザーにも影響が大きいと言われていますが、技術的な工程はシンプルです。
アップグレードの際にスマートコントラクトにMATICを送信することで自動的に同量のPOLを受け取ることができる仕組みとなっています。

ゼロ知識証明

Polygon 2.0では、ゼロ知識証明(Zero Knowledge Proofs:ZK)を活用します。
ゼロ知識証明とは、情報そのものを明らかにするのではなく、特定の情報を持っていることを証明することです。証明プロトコルの一種であり、証明者が真実以外の情報を開示するのではなく、その主張を真実と証明するメカニズムです。
ポリゴンではゼロ知識証明を活用することで、ブロックチェーンの透明性や拡張性を高めることができます。

クロスチェーン機能

Polygon 2.0の大きな特徴の一つとして、他のレイヤー2ネットワークとのクロスチェーン取引が可能になります。
クロスチェーン機能とは、異なるブロックチェーンをつなげる機能のことです。
一般的に互換性のないブロックチェーンに存在する仮想通貨同士は、取引所などを介して交換しなければ取引することができません。
しかしクロスチェーンがあることで、取引所や第三者を介する必要がなく異なる仮想通貨を直接取引することが可能になります。
現在ポリゴンでは、サイドチェーンによってイーサリアムとUniswapやAaveのような主要なDeFiをつなげる役割を担っています。
Polygon 2.0にアップグレードすることによって、理論上は無制限の数のチェーンをサポートし一定の流動性を提供することが可能となります。

トランザクション処理の高速化

Polygon 2.0の主要な目的として、トランザクションコストの削減とユーザーのプライバシーを高める狙いがあります。
元々ポリゴンはイーサリアムと比較して高速なトランザクション処理を行うことができます。PoSベースのコンセンサスアルゴリズムであるPolygon POSを使用しているため高速で低い手数料での取引ができます。
そしてアップグレードによって検証済みのトランザクションをイーサリアムの第一層、重要なデータを第二層に配置することで、さらに効率が良くなると期待がされています。

Polygon 2.0へアップグレードする影響

ポリゴンがアップグレードすることによって今後の見通しを考察していきます。
アップグレードによって国内でもポリゴンを取り扱う企業が増えており、ポリゴン自体の市場も拡大していくことが予想されます。

価格の高騰

ポリゴンはPolygon 2.0へのアップグレードの期待を受けて約10%の価格上昇をしています。

今回のPolygon 2.0のアップグレードのように大きな注目を集めるイベント時には、価格が不安定になる傾向にあります。
イーサリアムの上海アップデートでも一時的に15%程度の価格上昇を記録しています。
そのため今後MATICからPOLへの移行が進む際に再度価格が上昇する可能性も高いです。

NFTなど他分野で市場が拡大する

ポリゴンはNFTマーケットで活用されている仮想通貨のひとつです。
ポリゴンでNFTを取引するメリットとして、手数料が安く、作品自体も安いという特徴がありましたが、一方でポリゴンは日本国内の取引所で扱っている数も少なく利便性に問題を抱えていました。
ところが今回のPolygon 2.0へのアップグレードによって、2023年8月8日からコインチェックでMATICの取り扱いが開始されることになりました。
コインチェックではNFTの取引も行われており、日本国内から手軽にNFTの売買や出品ができるようになることでポリゴンの市場が拡大していくことが予想できます。

まとめ

今回のポリゴンのアップグレードPolygon 2.0で、Polygon LabsはPOLはビットコイン、イーサリアムに続く第三世代の仮想通貨という表現をしています。
最終的には1つの通貨によって全てのチェーンを運営するという、革新的な発表をしており、もし実現するのならば無限の可能性があると言えます。
アップグレードには数年かかると予想されており、MATICからPOLへ移行することによって成長を加速させていくことが期待されています。

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