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メタバースの9割が失敗?原因や普及率を上げるための方法を解説

仮想空間でコミュニケーションが可能なメタバースですが、事業化がうまくいかない企業が増加しています。
メタバース事業は、新型コロナウイルスの流行で非対面の仮想空間でのサービスということで注目が集まりました。
しかしコロナ禍の収束に伴い、メタバースに対する熱気も冷めはじめ事業化が失敗するケースが続出しています。
今回は、メタバース事業はなぜ失敗してしまうのか、原因となるポイントや普及率を上げる方法について紹介します。

メタバース事業の9割以上が失敗している

次世代のテクノロジーとして注目を集めているメタバースですが、事業化が上手くいっていない実態が明らかになっています。
Meta社やマイクロソフトがメタバースへの大型投資を発表しており、国内外の多くの企業がメタバース事業に取り組んできました。
しかしNTTデータグループのコンサルティングファーム・クニエのメタバースビジネス調査レポートによると9割以上が事業化に失敗していることが分かっています。


(引用:メタバースビジネスレポート

上記のレポートでは、メタバースビジネスの事業化の審査がおりた、既に運営しているケースを成功とし、事業化に向けた検討が停滞している場合や検討自体が中止された場合は失敗と定義しています。
その結果、メタバース事業に失敗した割合は91.9%となっています。

メタバース事業が失敗しやすい原因とは

メタバース事業が失敗する要因として、ターゲット層やニーズが不明確なことや、メタバースである必要性、専門性を持つ技術者の不足など多くの問題があると言われています。

VRデバイスの普及率

メタバースの利用率が増加しない理由としてVRデバイスの利用率が関係しています。
メタバースといえばVRゴーグルを使用して楽しむサービスが多いですが、実際にVRゴーグルを所有している人は少ないのが現状です。
LINEリサーチの調査によると、VRの認知率は全体の9割近くなのに対して、使用している人の割合は全体の約5%、以前は使用していたが現在は使用していないという人が16%という結果でした。


(引用:LINEリサーチ)

利用をしない人の意見として、技術的、値段的にも普及するレベルに達していない、VRでできることが分からないなどがあります。
スマホの普及率は96%を超え、タブレットも約37%近くあり、VRデバイスを比較するとまだまだ普及率が追いつかないのが現状です。
そのため多くの人に普及するためには、技術的にも時間が必要になると言われています。

メタバースへの理解不足

メタバースの事業化がうまくいかない理由として、メタバースへの理解が進んでいないことが挙げられます。
メタバースというと、多くの人が仮想空間でのゲームを思い浮かべると思います。
しかしメタバースビジネスは、ゲーム以外にもショッピングやイベント、旅行、教育、医療など多くの分野で活用が期待されています。
しかしメタバースはゲームでの利用が多いため、他のメタバースサービスが消費者に認知されることが遅れているという面もあります。

VRゴーグルをつける手間

メタバースを最大限利用するためには、VRゴーグルを利用することが必要になります。
VRゴーグルは進化を続けており、以前は10万円以上しましたが、現在では数万円から手に入るようになり多くの人が購入しやすくなりました。
しかしVRゴーグルの軽量化が進んでいるとはいえ、まだゴーグルを装着する手間や起動がさせるために時間がかかることなどから億劫に感じてしまう人も多いです。
現在は軽量化やスマホ装着型など気軽にVRを利用できる環境が整いつつありますが、まだ物理的な障壁があり手間を感じてしまう人が多いです。

既存のオンラインゲームとの差別化

メタバースゲームが失敗する理由として、既存のオンラインゲームと変わらないのではという意見があります。
代表的なオンラインゲームとしてファイナルファンタジーやフォートナイト、マインクラフトなどがありますが、仮想空間でアバターを使いゲームをするという点に関しては、メタバースゲームと変わりがありません。
メタバースの定義として、現実世界と同等の経済活動と行えることが挙げられます。
例えば、NFTなどを売買して換金することやメタバース内の不動産を購入することなどがありますが、まだ認知や普及が追い付いていないのが現状です。

メタバースである必要性

メタバース事業が失敗する特徴として、合理性が説明できないことがあります。
メタバースサービスの企画について、既存のサービスとの差別化を設計できていた割合が約15%、またメタバース固有の体験設計ができていたのが約18%に留まっていました。
(引用:メタバースビジネスレポート)
このようにメタバースである必要の少ない事業や既存のサービスと変わらないサービスが多いことが事業の失敗に繋がっています。

メタバースの普及率を上げる方法とは

メタバースを普及させるためには多くの人が体験する機会を増やすことが大切です。
日本国内ではメタバースといえばオンラインゲームがキラーコンテンツですが、ゲーム分野以外でも活用させることができます。
ここではメタバースの普及率を上げるためにはどのような取り組みが必要かをみていきましょう。

メタバースへ触れる機会を増やす

日本国内ではメタバースに参入する企業が増えていますが、多くはメタバースをビジネスに活用するレベルに留まっています。
メタバースのプラットフォームは、韓国や中国、欧米が中心となっており日本の企業は後れを取っているのが現状です。
多くの人にメタバースを体験する機会を増やすためには、国内でもプラットフォームやVRデバイスの開発を進め、イベントや展示会など体験できる機会を増やしていくことが重要です。

メタバースを活用する目的を明確に

多くのメタバース事業が失敗した理由して、明確な目的がなくターゲット層や差別化などができていないことがありました。
そのためメタバース事業では、ターゲットや課題、ニーズなどの明確化が必要になります。
流行など曖昧な目的のまま開発を進めるのではなく、利用する目的やメリットなどを明確にし、具体的な利用シーンを示すことで使用者からも価値を理解しやすくなります。

デバイスの小型化・軽量化

メタバースで必要になるVRゴーグルは進化を続けていますが、デバイスの更なる小型化や軽量化が必要になります。
VRゴーグルを使用した多くの人は、装着する手間を億劫に感じることが多いです。
現在のVRデバイスは、充電時間も長く使用時間も長時間は利用できません。また外出先でも利用がしにくく利用者の負担を減らすことが課題となっています。

デバイスサービスの標準化

メタバースではデバイスの標準化をすることで普及が進むと言われています。
現在では、シェアの半数以上を占めるMeta Quest 2やPICOなど多くのデバイスが普及しています。
しかしデバイスごとにスペックが違うため、開発者やサービスがバラバラになってしまうというデメリットがあります。
メタバースのデバイスやサービスの標準化を推進することで、異なるプラットフォームやデバイスでも移動できる環境を作ることができ利用のハードルを下げることが可能になります。

まとめ

今回はメタバース事業の9割が失敗した理由について解説しました。
メタバース事業の失敗が多いことは事実ですが、これからメタバースの需要が減っていく根拠にはなりません。
メタバースの活用は、NFTゲームや会議システムなどビジネスでの利用など多くの分野で実用化されていくことが予想されます。
この先、VR機器の進化や利便性が浸透することで、メタバースによるサービスは世界で日常化していくことが期待されています。

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